AMD プラットフォームでUSBが不安定になる問題
AMD Socket AM4 プラットフォームでWindowsを動かしていると時折USBが不安定になることがあります。
USBオーディオの場合は、十数分に一度くらいの頻度で一瞬音切れが起きることがあります。
筆者の環境では、CPU: Ryzen9 3900X、Chipset: X570、DAC: Sound Blaster XG6 の組み合わせでこの音切れ問題が生じます。
インテル プラットフォームで同じDACを使っていてもこの音切れ問題は生じません。
ネットで検索すると、AMDプラットフォームでUSBが不安定になる問題は昔からあるようで、Socket AM4プラットフォームみならず、現行のSocket AM5プラットフォームでもUSBの動作不安定の問題が起きているようです。
ネットで提案されている対処方法
ネットで検索するといくつか対処方法が提案されています。
- USBセレクティブスぺンドを「無効」に設定
- ユニバーサルバスコントローラーの省電力設定のオフ
- Windows update
- チップセットドライバーの更新
- 最新のBIOSに更新
上記の対処方法で解決された方もいれば解決できなかった方もいるようです。筆者の場合は解決できませんでした。
推定原因
筆者は半導体の設計屋だったので、まず最初にAMDチップセット内のUSB回路とドライバーに注目します。
チップセットの世代にかかわらず同じような問題を起きていることから、実装されているUSBのIPに癖があり、Microsoftやサードベンダーが提供しているドライバーがこのUSB IPに最適化されていないと推測します。
インテルはUSBの仕様を策定する主導企業だったので、USBの仕様に沿ったIPを実装していると考えられ、ドライバーもUSBの仕様に沿って作られているため素直に動作し問題を起こしていないと思われます。
解決方法
USBの仕様を主導していた企業のUSBコントローラを搭載したUSB増設ボードを導入しました。
具体的にはルネサスエレクトロニクスのμPD720201コントローラまたはμPD720202コントローラを搭載したUSB増設ボードです。

筆者が導入したのは、ラトックシステム株式会社のREX-PEU3Xです。

REX-PEU3Xの導入によりAMDプラットフォームで問題だったUSBオーディオの一瞬の音切れは全く無くなりました。
REX-PEU3XのUSBポートに接続したUSB機器はインテルプラットフォームと同じように安定動作をしています。
ラトックシステム株式会社のREX-PEU3Xは販売が終了してしまったようで現在中古品しか入手できないようです。
ルネサスのμPD720201またはμPD720202コントローラを搭載したUSB増設ボードで口コミ数が多く評価が高いのはStarTechと玄人志向の製品です。
StarTechはカナダで創設されたIT関連アクセサリーを製造している会社でUSB増設ボードも増設できるUSBポート数が2つ、4つ、7つ、電源端子もSATA、ペリフェラル電源(4ピン)等様々なバリエーションの製品を製造しています。
μPD720202コントローラを搭載したUSB増設ボードで2つUSBポートを増設できる製品はPEXUSB3S24とPEXUSB3S25です。
PEXUSB3S24とPEXUSB3S25は電源端子が異なります。PEXUSB3S24はSATA端子、PEXUSB3S25はペリフェラル電源コネクタ(4pin)です。

μPD720201コントローラを搭載したUSB増設ボードで4つUSBポートを増設できる製品はPEXUSB3S4Vです。

μPD720201コントローラを搭載したUSB増設ボードで7つUSBポートを増設できる製品はPEXUSB3S7です。

玄人志向でルネサスのμPD720201またはμPD720202コントローラを搭載したUSB増設ボードはUSB3.0RA-P4-PCIE、USB3.0RA-P2H2-PCIE等があります。
USB3.0RA-P4-PCIEは外部USBポートが4つ、USB3.0RA-P2H2-PCIEは外部USBポートが2つ+USBピンヘッダーが2つの構成です。
USBケーブルの抜き差しが多い場合PCのフロントパネル側にUSBポートがあると便利なので、筆者はUSB3.0RA-P2H2-PCIEとUSBフロントパネルを開発用PCに導入しました。USB3.0RA-P2H2-PCIEのUSBピンヘッダーにUSBフロントパネルのUSB3.0ケーブルを繋ぐことでμPD720201コントローラによる安定したUSB通信がフロントパネルのUSB3.0ポートで行えるようになります。
