レコードプレーヤーの設置時に必要なアクセサリーについて
レコードプレーヤーをオーディオシステムに導入した場合、設置時、日常のメンテや音質改善目的等で様々なアクセサリーが必要になってきます。
レコードプレーヤーの設置時には、下記のフローで調整を行います。
1. ターンテーブルの水平調整 ← 水準器を使います
2. トーンアームの水平調整 (高さ調整) ← 直角定規、(レーザー水準器)を使います
3. カートリッジ針先位置のオーバーハング調整 ← オーバーハングゲージ、定規を使います
4. トーンアームのバランス調整 (カウンターウェイト調整)
5. トーンアームのアンチスケーティング調整
6. トーンアームの針圧調整 ← 針圧計を使います
7. カートリッジがレコード盤に垂直に接しているか調整 ← 鏡を使います
8. インサイドフォースキャンセラーの調整
(9). ターンテーブルの回転速度調整 ← ストロボスコープを使います
水準器

ターンテーブルの水平調整に使います。
ターンテーブルの水平が取れていないと、トーンアームのアンチスケーティング調整が正しく行えず、レコード溝に対しカートリッジの針が常に片側のチャンネルに押し付けられて音が歪む現象が生じます。
私が所持している写真の水準器は現在日本では入手不可能なモデルです。
ortofon Bubble Level: ortofon Japanでは取り扱われていないようです。(イギリスのショップから購入しました)
SUPEX HL-26: 40年以上前に購入。なつかしのSUPEX社製です。
現在購入するならば、日本メーカーの「オーディオテクニカ AT615a 水準器」が候補に挙げられます。

針圧計

カートリッジの針圧を計測するため用います。
トーンアームの針圧調整ダイアルで針圧を合わせますが、大まかに刻まれた目盛りで合わせるため精度は期待できません。精度良く針圧を測定する装置が、この針先にかかる重さを直接計測する針圧計です。
写真は「ortofon DS-3」です。レコード盤の高さで測れるプレートにカートリッジを置いて測定します。このプレートは非磁性体なのでカートリッジの磁石による影響は受けずに測定できます。
測定精度は0.01gなので精度良く針圧調整が行えます。

鏡

カートリッジがレコード盤に垂直に接しているか調整するために用います。
レコード盤自体は殆ど反射面が無いのでレコード盤と同じ厚みの鏡を使います。
標準的なレコード盤の厚みは1.5mmです。重量盤は2mmあります。(これらは生産国や工場によってばらつきがあります)
ターンテーブルに鏡を置き、針圧をかけた状態でカートリッジの針先を鏡の上に載せます。カートリッジの垂直がわかる箇所(例えばDENON DL103では前面の白線)と鏡に映ったカートリッジの像とが一直線になるようにヘッドシェルを回転させて調整します。
標準的なレコードと同じ厚み1.5mmの鏡を探してみたところ、「エルオー マグネット バス ミラー 貼り付けタイプ」のマグネットを外せば、鏡の厚みが1.5mmとなり垂直調整に使えそうなことがわかりました。

裏面のマグネットは両面テープで接着されているので物理の力で剥がします。マグネットを固定していた両面テープの接着材が残ってしまったので化学の力で除去します。


無水エタノール浸したキムワイプでこすり上げて接着剤を除去しました。長時間力を入れすぎると反射面の塗装が取れてくるので状態を確かめながら作業を行ってください。



鏡の厚みの計測値は1.5mmです。標準的レコード盤の厚み(1.5mm)と一致します。

ストロボスコープ

ターンテーブルの速度調整に使います。
写真のAudio Technica AT6180aは、蛍光灯照明の下でターンテーブルを回転させ33-1/3回転の縞または45回転の縞が流れず静止したように見えるようにターンテーブルの速度を調整します。
電源周波数が東日本では50Hz、西日本では60Hzと異なるので、電源周波数:50Hzと60Hzの2種 x 回転数: 33 1/3rpmと45rpmの2種 の計4つの縞があります。
オーバーハングゲージもついているので、カートリッジ針先位置のオーバーハング調整が行えます。
最近はLED照明が主流となり、電源周波数との同期が取れなくなってきているので、専用のストロボライトと組み合わせたストロボスコープが販売されています。
下の写真は私が所持しているKAB SpeedStrobe™です。(日本では販売されていないと思います)
ターンテーブルを回転させてストロボライトを照射しストロボスコープの回転数の数字が静止するようにターンテーブルの回転速度を調整します。


日本メーカー製ではオーディオテクニカ AT6181DL ストロボスコープキットが販売されています。
33-1/3回転と45回転に加え、78回転専用の発光パターンで確認可能です。また、オーバーハングゲージもついています。