静寂の深淵へ。ネットワークオーディオのデジタルノイズと通信エラーを抑え、より純粋でクリアな音楽体験へ。
NAI-10Gは、ハイエンド・ネットワークオーディオのために開発された、超高速10GbE対応のイーサネットアイソレータです。高速通信環境において避けられないデジタルノイズとグランドループ、そしてシールドケーブルが引き起こす通信エラーを物理的に遮断し、システムが本来持つポテンシャルを最大限に引き出します。
オーディオ機器(ネットワークプレーヤー、DAC等)側から見た外観

ネットワーク機器(ルーター、ハブ等)側から見た外観

主な技術的特長
Pulse Electronics社製トランスによる「2段ガルバニック絶縁」
異音や音質劣化の根源「グランドループ問題」の解消
【問題の本質】
ルーター、ハブ、NAS、PC、そしてオーディオ機器がそれぞれ異なるコンセントから電源を取っている場合、LANケーブルを接続することで、機器間で複雑な「電位差(電圧のズレ)」が生じます。この電位差によってLANケーブルのシールドやアース線に不要な電流が流れ込んでしまう現象が「グランドループ」です。これがオーディオ機器の基準電位(アース)を揺らし、再生音に「濁り」や「デジタルのきつさ」として現れます。
【NAI-10Gによる解決アプローチ】
NAI-10Gは、心臓部にPulse Electronics社製の10G対応パルストランスを「2段直列」で配置した強力なガルバニックアイソレーション(電気的絶縁)を搭載しています。
LANケーブル内のすべての信号線を磁気的に結合させ、電気的には完全に分断(絶縁)するため、物理的なグランドループが完全に遮断されます。機器間のアースの汚れがオーディオ側に一切伝わらなくなるため、劇的なS/N比の向上と、濁りのない圧倒的な「静寂」の背景を手に入れることができます。
また、Pulse Electronics社製の10G対応パルストランスに実装されたコモンモードフィルタは、伝送系に重畳する不要なコモンモードノイズ成分を選択的に抑制します。これにより、ネットワーク経路で拡散するノイズの影響を最小化し、システム全体の静寂性と音場表現の純度を一段引き上げます。

高精度な「片側アース排出設計」
CAT7などのSTPケーブルで発生する「速度低下とエラー」の解決
【問題の本質】
高音質を期待して「CAT7」や「CAT8」といったシールド付きのSTP(Shielded Twisted Pair)ケーブルを導入したものの、逆に音が詰まったり、通信速度が低下したりするトラブルが多発しています。 CAT7等のシールド付きケーブルは、両端のコネクタの金属シールドを通じて「ルーターやハブからオーディオ機器」までノイズの通り道を1本に繋いでしまいます。その結果、高周波の迷走電流(グランドノイズ)がシールドを伝って流れ続け、これが通信データ自体を物理的に乱します。これによりパケットロス(エラー)が多発し、データの再送処理が繰り返されることで、結果的に「速度低下」や「通信の詰まり(ジッター)」を引き起こします。
【NAI-10Gによる解決アプローチ】
NAI-10Gは、この問題を解決するために「高精度な片側アース排出設計」を採っています。 製品のネットワーク側(ルーターやハブ側)のRJ45シールドのみをアルミ押し出し筐体に接地(アース)させ、オーディオ機器側(DAC/ストリーマー側)へのシールドの繋がりを完全に断ち切ります。
これにより、CAT7等のシールドを伝ってきた高周波ノイズは、NAI-10Gの強固なアルミ筐体(巨大なノイズシンク)に吸い取られ、すべてネットワーク側へと安全に排出(ドレイン)されます。 データ信号の乱れ(パケットエラー)が根本から消え去るため、10GbE本来の圧倒的なハイスピード通信がストレスなく維持され、同時にデジタル信号のエラー訂正処理に伴うオーディオ機器側の演算ノイズ(CPUへの負荷)も劇的に低減します。
独立コンデンサ構成のBob Smith終端回路
信号の整合性を保つための「Bob Smith終端回路」にも妥協はありません。スペース効率のためにコンデンサを共有する一般的な設計とは異なり、各抵抗に対して独立したコンデンサを配置。LAN信号の4対ペア間の相互干渉(クロストーク)を徹底的に排除し、Pulse Electronics社製トランスの性能を最大限に引き出す正確なインピーダンスマッチングを10GbEの全帯域において実現しています。
アルミ押し出し材による堅牢な筐体
筐体には、高い剛性と優れた電磁シールド性能を併せ持つアルミ押し出し材を採用しました。美しいシルバーアルマイト仕上げは、ハイエンド機器と並べても遜色のない質感を備えています。35 x 26 x 83mmという極めてコンパクトなサイズは、配線の背後や狭いスペースでもスマートに設置可能です。
RJ-45コネクタによる接続方式
本製品はLANケーブルを直出しせず、RJ-45コネクタによる接続方式を採用しています。
これにより、ケーブル選択の自由度を確保し、LANケーブルの特性を生かした音質チューニングが可能です。
システム全体の音質最適化を追求するユーザー様に最適な設計としています。

主な仕様
- モデル名: NAI-10G
- 対応規格: 10/100/1000BASE-T および 2.5G/5G/10GBASE-T
- 対応速度:10M/100M/1Gbps および 2.5G/5G/10Gbps
- コネクタ形状:RJ-45 (Network側、Audio側 各1ポート)
- コアコンポーネント: Pulse Electronics製 10Gパルストランス ×2
- 絶縁方式: 2段パルストランスによるガルバニック絶縁 (各パルストランスの絶縁耐圧:1.5kVrms min @ 60sec)
- 終端回路: 独立コンデンサ構成・Bob Smith終端
- 筐体素材: アルミ押し出し材(シルバーアルマイト仕上げ)
- 寸法: 幅 35mm × 高さ 26mm × 奥行 83mm
- 重量:83g
- 接地仕様: ネットワーク側シールドのみ筐体接地(片側ドレイン構造)
設計のこだわり: 10GbEという広帯域通信において、信号の整合性を維持しつつノイズを分離するのは極めて困難な課題です。NAI-10Gは、信頼のPulse Electronics社製パーツと独立回路設計、そして堅牢なアルミ筐体を組み合わせることで、スペック上の数字だけではない「音楽のための10G環境」を提供します。
音質への効果
NAI-10Gをシステムに導入することで、高ビットレート再生時に感じられがちな「デジタルのきつさ」や「音の詰まり」が解消されます。CAT7等のシールド付きSTP(Shielded Twisted Pair)ケーブルが持つ「外来ノイズを防ぐ」というメリットだけを活かし、その代償であったデメリットを完璧に排除。音場はより深く、楽器のセパレーションはより鮮明に。音楽のディテールが静寂の中から浮かび上がる、有機的で情報量豊かなサウンドにより、臨場感あふれるリスニング体験を実現します。
【実証データ】iperf3による10GbEスループット(通信速度)測定
「アイソレータを挿入することで、10GbEの高速通信に影響(速度低下)は出ないのか」という疑問に答えるため、ネットワークの転送速度を正確に測定する業界標準ツール「iperf3」を用いてベンチマークテストを実施しました。
測定条件と結果
測定は以下の3つの異なるアプローチで行い、実効速度を比較検証しました。
| 測定条件 | 使用ケーブルおよび構成 | 測定結果(スループット) |
| ① 直結(基準値) | CAT6A UTP (3m) 直結 | 9.4 Gbps |
| ② アイソレータ UTP構成 | CAT6A UTP (3m) + NAI-10G + CAT6A UTP (1m) | 9.4 Gbps |
| ③ アイソレータ STP構成 | CAT7 STP (3m) + NAI-10G + CAT7 STP (1m) | 9.4 Gbps |
測定環境



ネットワーク構成
- スイッチ:Allied Telesis AT‑XS910/8
- NIC : Intel X550‑T2、Buffalo LGY‑PCIE‑MG3
- 接続:すべて 10GBASE‑T リンク
- Cat6A LANケーブル:ELECOM LD-GPAYT/BU30 (3m)、ELECOM LD-GPAYT/BU10 (1m)
- Cat7 LANケーブル:ELECOM ECLD-TWSM/BK30 (3m)、ELECOM ECLD-TWSM/BK10 (1m)
検証方針
- ハブとクライアントPC間の接続を、
①CAT6A UTP直結、
②CAT6A UTP間にアイソレータを挿入、
③CAT7 STP間にアイソレータを挿入
の3種を切り替えて測定 - サーバーは固定 (OS: Ubuntu 26.04、NIC: Intel X550-T2)
- クライアントだけ、OSを切り替えて測定
- 並列通信ストリーム数以外は極力固定
iperf3 サーバー
- OS:Ubuntu 26.04 LTS
- CPU : Intel Core i5 13500
- M/B : ASUS TUF GAMING B660-PLUS WIFI D4
- NIC:Intel X550‑T2
- 役割:iperf3 をサーバーモードで常時待ち受け動作(iperf3 -s)
iperf3 クライアント
- OS:
- Windows 11 pro 25H2
- Ubuntu 26.04 LTS
- CPU : AMD Ryzen 9 5950X
- M/B : ASRock X570S PG RIPTIDE
- NIC:Buffalo LGY‑PCIE‑MG3
- 役割:iperf3 をクライアントモードで速度測定
- iperf3 並列通信ストリーム数: 1 / 2 / 4 / 8
測定条件
- ツール:iperf3
- プロトコル:TCP
- 並列通信ストリーム数: 1 / 2 / 4 / 8
- 測定回数:5回
測定結果(スループット)
クライアントPC OS:Ubuntu 26.04の場合

NAI-10Gを挿入した構成(②および③)は、直結状態(①)と全く変わらない速度(スループット)を出しています。
クライアントPC OS: Windows 11の場合

NAI-10Gを挿入した構成(②および③)は、直結状態(①)と全く変わらない速度(スループット)を出しています。
測定結果から見える「NAI-10G」の優位性
10GbEの限界値に迫る「速度低下ゼロ」の実証
一般的なLAN環境(PC-スイッチ間など)における10G Ethernetの実効最大速度は、プロトコルのオーバーヘッドを考慮すると約9.4Gbpsが理論上の限界値です。 測定の結果、NAI-10Gを挿入した構成(②および③)は、直結状態(①)と全く変わらない「9.4 Gbps」のパーフェクトなスコアを叩き出しました。本機が10GbEの超広帯域通信において、一切のボトルネックにならないことが証明されました。
CAT7(STP)使用時でもエラーによる速度低下を完璧に抑制
特筆すべきは条件③の結果です。本来、オーディオ機器に直結すると高周波ノイズのループによってパケットエラー(再送)を起こし、速度低下を招きやすいCAT7 STPケーブルですが、NAI-10Gを中間に挟むことでエラーによる速度低下を完璧に抑え込み、9.4Gbpsの最高速度を維持しています。
これは、本機の「2段パルストランス(Pulse Electronics社製)」と「片側アース排出設計」が正確に機能し、信号のインピーダンスを完璧にマッチングさせながらノイズだけをきれいに遮断している証拠です。
現在の開発状況と今後の販売について
ネットワークオーディオのポテンシャルを最大限に引き出す10GbE対応アイソレータNAI-10Gは現在生産中です。
販売開始は2026年6月後半、価格は29,800円 (税込)を予定しております。
高速ネットワーク環境に潜むノイズを抑制し、音の純度と空間表現をより高い次元に導きます。
詳細は順次公開予定ですので、ぜひご期待ください。
